【第2類医薬品】酸棗仁湯 煎じ薬 15日分
寝つきをよくする漢方薬です。
作用
【働き】
酸棗仁湯(サンソウニントウ)という方剤です。神経をしずて、寝つきをよくします。体力があまりなく、繊細な人に向く処方です。
【組成】
漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。酸棗仁湯の構成生薬は、下記の5種類です。主薬の“酸棗仁”にはおだやかな催眠・鎮静作用があるといわれます。“知母”や“茯苓”にも同様な効果が期待できます。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
酸棗仁(サンソウニン)
知母( チモ)
茯苓(ブクリョウ)
川きゅう(センキュウ)
甘草(カンゾウ)
特徴
不眠症に用いる代表的な方剤です。西洋薬のようなキレのよい効果はありませんが、習慣性(依存)など副作用の心配はありません。漢時代の「金匱要略」という古典書で紹介されている処方です。
適応証(体質)は、虚証(虚弱)、気虚(心身疲労)となります。
注意
【診察で】
持病のある人は医師に伝えておきましょう。
市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。
【注意する人】
食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢など、胃腸の弱っている人は慎重に用いる必要があります。
【飲み合わせ・食べ合わせ】
芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。
飲み合わせに注意..甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)など。
【使用にあたり】
ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
【備考】
漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、酸棗仁湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
効能
心身がつかれ弱って眠れないもの。
用法
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなることがあるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。
重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
【その他】
胃の不快感、食欲不振、吐き気、下痢