【第2類医薬品】牛車腎気丸 煎じ薬 7日分 7包
体の弱った機能をおぎなう漢方薬です。おもに、足腰の痛みや排尿異常などに用います。
作用
【働き】
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)という方剤です。体力をつけ、また、水分の循環をよくする作用があります。ことに、足腰や泌尿生殖器など下半身の衰えに最適です。
一般的に高齢の人に用いることが多く、体力が低下し、顔色もすぐれず、冷えをともなうときに向きます。「臍下不仁(さいかふじん)」といって、オヘソから下の下腹部がフニャフニャと力がないことも使用目安です。
具体的には、足腰の冷えや痛み、しびれ、夜間頻尿、多尿、尿量減少、むくみ、かすみ目、皮膚のかゆみなどに用います。また、そのような症状をともなう前立腺肥大症や糖尿病にも適応します。
【組成】
漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。牛車腎気丸の構成生薬は、下記の10種類です。“地黄”には、貧血症状を改善し元気をつける作用があります。“山茱萸”や“山薬”にも滋養強壮作用があり、“地黄”の働きを高めます。“茯苓”や“沢瀉”、“牛膝”や“車前子”は、水分の循環をよくし無駄な水分をとり去ります。そのほか、血液循環をよくする“牡丹皮”、体をあたため痛みをやわらげる“桂皮”や“附子”などが配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
地黄(ジオウ)
山薬(サンヤク)
山茱萸(サンシュユ)
茯苓(ブクリョウ)
沢瀉(タクシャ)
牡丹皮(ボタンピ)
桂皮(ケイヒ)
附子(ブシ)
牛膝(ゴシツ)
車前子(シャゼンシ)
特徴
八味丸に牛膝と車前子を加えたもので、腎気丸の部類に入ります。“腎気”とは、漢方でいう腎(泌尿生殖器)の働きを高め、元気や精力をつけるという意味です。宋時代の「済生方」という古典書で紹介されている方剤です。
腎虚(泌尿生殖器の衰え)をともなう高齢の人に広く用いられています。利尿作用をもつ牛膝と車前子が加わるので、より「湿証」向けの方剤といえます。
糖尿病性末梢神経障害に対する有効性が臨床試験で示されています。病院では、その治療目的にも用いられます。
適応証(体質)は、虚証(虚弱)、腎虚(泌尿生殖器・下半身の衰え)、寒証(冷え)、湿証(水分停滞)、臍下不仁(下腹部脱力)となります。
注意
【診察で】
持病のある人は医師に伝えておきましょう。
市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。
【注意する人】
冷えをともなう「寒証」向けの方剤です。したがって、体力が充実し、暑がりで、のぼせのある人には不向きです。また、胃腸がひどく弱っている人も避けたほうが無難です。
注意が必要なケース..実証・熱証(体力充実・のぼせ)、胃腸の病気(食欲不振、吐き気、腹痛、下痢をしている人など)
【飲み合わせ・食べ合わせ】
真武湯など、“附子”を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、その重複に注意が必要です。
飲み合わせに注意..附子含有製剤など。
【使用にあたり】
ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
【備考】
漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、牛車腎気丸をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
効能
疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少または多尿で時に口渇がある次の諸症。
下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ。
用法
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、胃の不快感やもたれ感、食欲不振、吐き気などを催します。また、動悸やのぼせ、舌のしびれ感などもみられます。症状の強いときは、早めに受診してください。
そのほか、間質性肺炎と肝障害が報告されています。万一のことですが、咳や息切れ、呼吸困難、発熱、ひどい倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる、といった症状に注意し、そのような場合はすぐ医師に連絡してください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
【その他】
胃の不快感、食欲不振、吐き気、吐く、腹痛、下痢
動悸、のぼせ、舌のしびれ
発疹、発赤、かゆみ