小柴胡湯【第2類医薬品】煎じ薬30日分
【働き】
小柴胡湯(ショウサイコトウ)という方剤です。胃腸や肝臓、呼吸器の働きを改善し、また、体の免疫機能を調整し炎症をやわらげます。そして、体の疲れをとり、病気の回復を助けます。
具体的には、肝炎や胃炎、少しこじれたカゼなどに適応します。また、喘息やネフローゼなどアレルギーや免疫系がかかわる病気にも処方されます。体質的には、体力が中くらいで、ミゾウチから肋骨下部が張り胸苦しさのある人に向く処方です。
【組成】
漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。小柴胡湯は、主薬の“柴胡”をはじめ、下記の7種類の生薬からなります。“柴胡”と“黄ごん”の組み合わせにより、炎症をしずめる効果が高まります。“半夏”は、胸のつかえ感や吐き気をおさえる生薬です。そのほか、滋養作用のある“人参”、炎症や痛みを緩和する“甘草”などが配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
柴胡(サイコ)
黄ごん(オウゴン)
半夏(ハンゲ)
人参(ニンジン)
甘草(カンゾウ)
生姜(ショウキョウ)
大棗(タイソウ)
特徴
小柴胡湯は、病院で一番使われてきた漢方薬です。とくに、肝炎の治療にしばしば処方されてきました。実際、肝機能値の改善効果が認められており、肝炎の進展の抑制効果が期待できます。漢時代の「傷寒論」および「金匱要略」という古典書で紹介されている処方です。
方剤構成から“柴胡剤”に分類されます。適応証(体質)は、半表半裏・少陽病(急性~慢性期)、熱証(炎症)、中間証~やや虚証(体力中くらい)、胸脇苦満(肋骨下部の張り)を目安とします。
注意
【診察で】
持病のある人は医師に伝えておきましょう。
市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。
【注意する人】
肝硬変にいたっている場合、あるいは体がひどく弱っている人には用いません。
適さないケース..肝硬変、肝がん
注意が必要なケース..虚証(虚弱)
【飲み合わせ・食べ合わせ】
インターフェロン療法との併用は禁止されています。併用により、間質性肺炎という重い副作用がでやすくなるためです。また、芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。
飲み合わせの悪い薬..インターフェロン製剤
飲み合わせに注意..甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)、利尿薬など。
【使用にあたり】
ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
【備考】
漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、小柴胡湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
効能
【ツムラ】